コトゴトの散文

日常のコトゴトが題材の掌編小説や詩などの散文です。現在は「竹取物語」を遊牧民族の世界で再構築したジュブナイル小説「月の砂漠のかぐや姫」を執筆中です。宜しければ、ひとときおつきあいください。

こんな夢を見た

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 こんな夢を見た。

 懐かしい小学校の教室。教室は笑い声で満たされていた。児童のみんなが笑っていた。たった一人、僕だけを除いて。

 そう、笑われているのは、僕だった。

 僕はさんすうの問題に自信満々で回答したのだが、その答えがまったくの見当違いだったのだ。

 隣のクラスの児童がびっくりするほどの大笑いの渦の中で、僕は真っ青になって立ち尽くしていた。

「はい、注目!」

 そんな僕を救ってくれたのは、先生だった。

「いい、みんな? 彼は自分の意見を言ってくれました。それはとっても勇気の要る良いことです。答えとあっているかどうかは関係ないんです。人の意見を笑っちゃダメ。意見を言ってくれたことに、拍手をしよう」

「はーい」

 パチパチパチ・・・・・・。

 

 ああ、そうだ。

 正解のある問題でもそうなのだ。それなのに僕は、正解のない問題に対する人の意見を、笑っていないか。尊重しているか。

「ありがとう、先生」

 僕は布団の中で、小さく拍手をした。