こんな夢を見た。
懐かしい小学校の教室。教室は笑い声で満たされていた。児童のみんなが笑っていた。たった一人、僕だけを除いて。
そう、笑われているのは、僕だった。
僕はさんすうの問題に自信満々で回答したのだが、その答えがまったくの見当違いだったのだ。
隣のクラスの児童がびっくりするほどの大笑いの渦の中で、僕は真っ青になって立ち尽くしていた。
「はい、注目!」
そんな僕を救ってくれたのは、先生だった。
「いい、みんな? 彼は自分の意見を言ってくれました。それはとっても勇気の要る良いことです。答えとあっているかどうかは関係ないんです。人の意見を笑っちゃダメ。意見を言ってくれたことに、拍手をしよう」
「はーい」
パチパチパチ・・・・・・。
ああ、そうだ。
正解のある問題でもそうなのだ。それなのに僕は、正解のない問題に対する人の意見を、笑っていないか。尊重しているか。
「ありがとう、先生」
僕は布団の中で、小さく拍手をした。