みなさん、こんばんは。くにんです。
短期集中連載なるものを開催していたため、話数のカウントはちょっといい加減なのですが、切りが良いところに来ましたのでマイルストーンを設置しようと思います。
ゴールデンウィークですね。
僕はカレンダーどおりの勤務なのですが、土日祝日関係なしにお仕事だという方もいらっしゃると思います。お疲れ様です。
さて、いつものとおり、肩の力を抜いた閑話です。
まずは、御礼を。
いつも長編物語「月の砂漠のかぐや姫」や短編・掌編小説等の創作物をお読みいただき、誠にありがとうございます!
最近は、短編小説「エデンの東の果ての地で ~ココロにパフュームをⅤ」の執筆に集中していて、「月の砂漠のかぐや姫」の更新が少し止まっておりました。
無事に短編を書き終えましたので、ゴールデンウィーク明けからは「月の砂漠のかぐや姫」の更新を進めたいと思います。
短編小説「エデンの東の果ての地で ~ココロにパフュームをⅤ」ですが、題名からわかりますように、短編小説「ココロにパフュームを」から続くシリーズ物の最新作です。当ブログ右側のカテゴリー欄から同シリーズを遡れますので、良ければ過去作もご覧ください。
この作品は、ムラサキさんがnoteで主宰されているアンソロジー「眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー」に投稿したものです。今回のアンソロジーのテーマは「心の中の怪物」でした。
小説や物語を書く時に、設定やプロット(あらすじ)をどの程度まで考えてから書き出すのかは、書き手により異なります。もちろん、その書こうとしている作品の大まかな規格、つまり、連載か読みきりか、短編か長編かなどの条件でも変わるでしょう。
先日、同じアンソロジーに投稿していらっしゃる同好の士が、自分はプロットを立てないんだと、Xに投稿をしてらっしゃいました。
自分の場合はどうかと考えてみると、ぼんやりとではありますが「プロットを立ててから書き出すタイプ」だと思います。もちろん、一口に「プロット」と言っても、詳細なものから大まかなものまで様々です。僕の場合は「話の大まかな流れ」です。
以前に、ブログを通じてお付き合いがある「明読斎 (id:tanisuke1234)」さんとオフ会(オッサンズ会)でお会いした時に、「自分は場面を描く作家だ」と言うようなお話をしたことがあります。
書き出すよりも先に、頭の中でテーマを基に筋道を考えます。ここで、「今回書きたいもの」が決まります。多くの場合、それは「これをこういう視点で見たら面白い」とか、「このテーマをこういう形で表したい」とかいう断片の集まりです。
そして、その断片を構成した世界設定・場面の中に、人物を置きます。それがまとまると、その頭の中にある場面を、文章によりこちらの世界に再現するのです。僕の短編の特徴は、短編だからということもありますが、非常に場面転換が少ないことだと思っているのですが、この制作方法がその理由の一つなのかなと思います。
とは言え、書いているうちに話の流れが変わってしまうことや、登場人物が勝手に走り出すこと等もよくあります。先に頭の中で場面ができあがっているのに、不思議ですね。
実のところ、今回の短編もその「書いているうちに話の流れが変わった」作品の一つです。
短編であれば、「一発書き」をされる方もいらっしゃるのでしょうが、僕はプロットを作ってから書き始めております。以下が、本作の一行目を書き出す前に作成していたプロットです。いつも僕が作るのは、こんな感じのかなりラフなものです。このプロットを作る過程で、頭の中で色々とアイデアを捏ねまわしているので、これは言わば「覚え書き」ですね。いま自分で読み返しても、このプロットのラストの表現はとても「くにんらしい」ものなのですが、どうしてもここに話が行きませんでした。それは、本編で語り手となった響のキャラクターが影響したのだと思われます。
(プロット)
響がピアノを弾き終わって席に戻ると、さくらと七海がサラ・ミドルトンと話をしている。
サラはイギリスからの留学生でさくらと同じ大学に通っている。日本文学、特に昔話に興味があり、琴にも興味がある。サラは「王女」の意味。
さくらと七海が顔を赤くしていたので理由を聞いてみると、「生娘」の意味を聞かれてどう説明しようかと思ったとの事。
どこからそんな話が出て来たかとサラに聞くと、図書館で郷土の昔話を調べていく中で出て来たとのこと。
山の裾野に位置するこの地方は、大雨の時に小さな川に水が集まりそれが氾濫することがしばしばあった。そのため、村人は山神様の祠を立て、大雨が続いた時には村から生娘を一人差し出して、災害が及ばぬように祈った。
生娘ってこういう意味だよ。
なんで生娘なんだろう。まさかロリコン?
大事なものだからじゃないの。
そう言えば、昔話ではないけれど私がおばあちゃんから教わったカインとアベルの話でも、神様に大事なものを捧げていたな。アベルは大事なものを捧げて、カインはそうでもないものを捧げた。だから、貴方は一番大切なものを神様に捧げなさいって教えられた。
カインに印をつけるんかい。アダムとイヴ、それにカインとアベルしか人はいないはずなのに(←突っ込み)
「この近くだから、神社に行ってみる?」と七海。
神社は川に突き出たところに有り、大雨で増水したとすればたちまち流されてしまう。それが残っているということは、効果はあったのか。
意識が遠のき、過去を見る。
人柱の中に入っているのだ。人柱には村人の自然に対する恐れ、人柱の死に対する恐怖が究極に詰まっている。念仏は唱えない。仏に頼るのであれば、そもそもこんなことはしない。山神様にひたすらお願いするのだ。
夜半になって、山神が訪れる。山神は響に気が付く。神は自然を恐れる人々がたてまつったもの。だから、自然に対する恐れを喰らう。人柱そのものを喰らう訳ではない。死んでしまってはそれを喰えない。敬愛では物足りない。
朝になると天候は回復している。精神の髄まで恐怖ですり減らした人柱は、お使いとして村に迎えられる?
エデンの地で神に作られた人は、神に最も大切なものを感謝の証として捧げる。
エデンからはるか離れた極東では、人が神を作りそれに恐れを喰われるのだ。
このプロットが、あの短編になるとは……。どうなんでしょう、自分としては繋がっているんですけどね。
サラの名前はサラ・ミドルトンだったんですね。本編ではサラ・ハミルトンなんですが。ハミルトンと言う姓もイギリスっぽいので(ルイス・ハミルトンという偉大なイギリス人F1ドライバーもおります)、書きながらこっちの方がいいかと改名していました。
サラと言う名前、これがさくらと発音が似ているというエピソードが、本編に出てきます。このエピソードがプロットに無いのは、後から出てきたアイデアだからです。
そもそも、サラと言う名前は、さくらとひっかけて造ったのではなく、「すごい名前生成器」からたまたま出て来たものです。このサイトは、僕が登場人物の名前を付けるのに、よく利用させていただいてます。
「サラ」は、「イギリス人の女性の名前」で検索して、出てきた候補の中からひょいと選んだものなんですよね。むしろ、プロットの段階では、「サラ」という名前の由来の方に着目していました。ヘブライ語で「王女」と言う意味や、サンスクリットで「本質」という意味があるそうです。でも、結局、この点は本編で触れられずじまいでしたが。
生娘の話も本編では触れられず、でしたね。人柱として生娘を供える話はありますが、多くの話の中では、精々「清らかな生娘を」というぐらいしか、その理由に触れられていないと思います。そこで、カインとアベルの話を「自分が持っている物の中で最善の物を捧げた男とそうでなかった男の話」と捉えて、乳児死亡率が高い昔では子供をこれからたくさん産める生娘こそが最も価値があるものとされていた、と発展させる考えでした。
「エデンの地で神に作られた人は、神に最も大切なものを感謝の証として捧げる。エデンからはるか離れた極東では、人が神を作りそれに恐れを喰われるのだ。」
前述のように、サラの話と七海の話を、このようにはっきりと対比させた方が座りが良いのですが、本編はそこに流れて行きませんでした。「二つの話の違い」の面白さに着目するのではなく、「両方の世界の中でみんなは同じように一生懸命に生きていたんだ」というところに、登場人物たちが意識を向けてしまったのです。「ココロにパフュームを」のキャラクター、世界観はそういう方向なので、これはこれで仕方ないです。もしも、このテーマを基にして、別の主人公、例えば「魔法探偵」シリーズの男たちで話を作ったとしたら、プロットの方向に話が膨らんだような気がします。
あ、そうそう。プロットの段階では、題名が「Far east from EDEN」でした。題名は本編を書き上げてから決めることが多いのですが、今回は最初から仮題がついていました。結局、日本語に変わりましたけど。(^-^;
最後に告白すると、読了後のおまけに映画「エデンの東」のテーマ曲をお付けしているのですが、僕はこの映画を観ていませんでした! 流石に「このお話を書いておいて、映画を観ていないのはいかんだろう」と思い、執筆終了後に観させていただきました。そのため、この短編は、映画の影響は一切受けておりません。(いやぁ、ジェームス・ディーン、そりゃ人気でますわ! 個人的には兄ちゃんのその後が気になります(;∀;))
前のマイルストンからここまでの間に、PC用の椅子が壊れてしまいました。座面の高さを調整しようと思って操作したら、一番下にまで下がってから上がらなくなりました。まぁ、仕方がないですねぇ。だいぶん長いこと使ってましたから。
僕はPCラックに置いたデスクトップPCに向かって小説等を書いています。考えてみたら、このPCラックも長いこと使っています。購入したのは、そう、PC9801RXと同じ時だったから・・・・・・、推して知るべし。
ひじ掛けのついた椅子の方がキーボードを打つのに楽なので、事務用の椅子を探していたら、けっこう高いんですよね。それに重い。アマゾンさんで購入しましたが、配送があって助かりました。古い椅子を捨てるのに運び出すのが大変でした……。
いまは、椅子のひじ掛けに加え、Cラック側にも可動式のアームレストを設置して、キーボードを叩いております。
この節では、前回の文学フリマ大阪で購入した本を読み進めております。どの本からも「小説」や「物語」が好きだという思いがヒシヒシと感じられます。様々な小説投稿サイトやブログサイトがあるからか、内容もとても充実しております。皆さんとても「書きなれている」という感じがしますね。それに、製本・印刷技術が進歩しており、本屋に並ぶ書籍とも、美しさをとっても強度をとっても、何ら変わるところがありません。創作者にとってはもちろん、読者にとっても有難いですね。
さて、今回のマイルストーンはここまでとしたいと思います。
次のマイルストーンは、夏頃になりそうです。
夏と言えば、文学フリマ大阪が9月13日(日)にインテックス大阪で開催されます。僕も「秋風堂書房」と言う名前で初めて参加させてもらう予定です。入場料無料ですので、お時間があればぜひお越しください。
その後、BOOTHの「秋風堂書房」でも販売をさせていただくので、こちらも是非ご利用ください。
これから、どんどんと暑くなっていくのでしょうね。
夏に暑さが増すのは仕方がないのですが、酷暑は勘弁してほしいというのが正直なところではあります。皆様も体調を崩されることがないように、お気を付けください。
それでは、次回550編のマイルストーンでお会いできるのを、楽しみにしております。