コトゴトの散文

日常のコトゴトが題材の掌編小説や詩などの散文です。現在は「竹取物語」を遊牧民族の世界で再構築したジュブナイル小説「月の砂漠のかぐや姫」を執筆中です。また、短編小説集をBOOTHで発売しております。https://syuuhuudou.booth.pm/

【詩】 長い休暇が明けようとしている君へ ~おじさんのお願い

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長い休暇が 明けようとしている

君は 再び動き始める時間を考え 苦しんでいるのだろうか

 

そんな君に おじさんから お願いがあるのだ

 

もうすぐ 動き出そうとする時間

それは きみにとって とても辛い時間

あるいは 感情を殺した人形にでもなりたい時間 なのかもしれない 

それは とても耐え難い時間

あるいは なんとか消し飛ばして無くしてしまいたい時間 であるのかもしれない  

 

君がつらいことは よくわかる

だけども 僕には 君のつらさを想像することしかできない

冷たいようだけれど 僕には 君を助けてあげることはできない

 

ただ 確かなことがあるのだ

幸せは 間違いなくある

それは 君にも 必ず訪れる

もちろん それは おとぎ話のような ドラマのような 特別なものではない

(特別な場合もあるけどね)

美味しいごはん これを お腹いっぱい食べたときの幸せ

充分に睡眠をとって 目覚めたときの 爽快感

暑い日に飛び込んだ クーラーが効いた部屋で感じた 生き返った気持ち

寒い日にゆっくり浸かる風呂 じんわりと感じる開放感

(小さなことだけどね。これほど確かな幸せというのも、実は少ないものだよ)

 

だから お願いがあるのだ

重荷を背負っている君に 申し訳ないが お願いがあるのだ

 

君が 君を あきらめないで欲しい

君が 君を 見放さないで欲しい

 

頑張って 問題に立ち向かう場合も

勇気をもって 相手に抵抗する場合も

思い切って 助けを求める場合も

視点を変えて 逃げを選択する場合も

 

最初の一歩を踏み出すのは 君だ

誰かの助言があったとしても 君を動かすのは 君だ

君に とても負担がかかるのは よくわかる

君が とても大変だというのは まったくそのとおりだ

そして 恐ろしいことに 悲しいことに

その 君の行動や 挙げた声が

必ずしも問題の解決につながらない それも真実だ

 

そう

それを 理解したうえで

それでも 君にお願いする

 

君が 君を あきらめないで欲しい

君が 君を 見放さないで欲しい

 

君の前には 幸せが待っている

たくさんの 楽しいこと 興味深いことが

君に見つけてもらいたいと 待っている

 

だから どうか お願いだ

君が 君を あきらめないで欲しい

君が 君を 見放さないで欲しい

 

君は 君だ

君で いいんだ

君だから 君なんだ

君が進みたい速度で 進めばいいんだ

今は 前に進むことが難しいのであれば

今は 止まっていてもいいんだ 逃げたっていいんだ

君が 君を あきらめなければ それでいいんだ

君が 君を 見放さなければ それでいいんだ

 

だから どうか お願いだ

君が 君を あきらめないで欲しい

君が 君を 見放さないで欲しい